建築から46年となる石垣市火葬場は、コンクリートのはく離や膨張などにより煙突の取り換えを余儀なくされているほか、購入して29年になる霊きゅう車もエンジンが故障。現在は民間葬祭業者が自前の搬送車で対応しており、市では中古車両を購入し、当面の運用に当たることにしている。施設は老朽化が一段と進んでいるが、現火葬場向かいに建設する新火葬場が2年後に完成、供用開始を控えていることから、市はこの間の使用に耐えられるような対応にとどめる方針だ。
高さ16㍍の煙突は至る所に亀裂があるほか、地上2㍍付近でコンクリートが膨張するなど危険な状態。担当の環境課は「台風や地震で施設側に崩れたら大変なことになる」として、これに代わる煙突を整備した後、現煙突を撤去する予定だ。
霊きゅう車は1984年に約800万円で購入。3月に走行中、エンジンが故障したが、部品が生産中止となっているために修理できず、現在は民間の葬祭業者が自前の搬送車で対応している。
同課によると、自治体が霊きゅう車を所有、運用しているのは、県内では石垣市と伊江村のみ。それ以外の自治体では、葬祭業者が自前で確保し使用している。
同課は、市内の葬祭業者と意見交換したところ、「民間が所有すると葬祭費用が高くなる。10万人以上の人口がいないと所有しても事業が成り立たない」などの意見を受け、当面の間は市が車両を購入して運用する方針を決めた。
霊きゅう車は、大型車を改造して作られており、主に神社など宗教的な装飾を施した宮型と、宗教的装飾のない洋型があり、市が現在保有するのは宮型。宗教が多様化しているため、代替車両は洋型を予定している。
煙突の取り換え工事と霊きゅう車購入の費用は市議会6月定例会に提出された2014年度一般会計補正予算案に盛り込まれている。それぞれ300万円余。
新火葬場の供用開始に向けては、検討委員会を近く立ち上げ、火葬料の設定や霊きゅう車の運用を含め施設のあり方を議論する。