台湾東部と与那国を船で直接結ぼうという与那国島直航大連盟が台湾で発足した。与那国町の動きと呼応するものとして歓迎されている▼実のところ、似たような動きはこれまでに何度も浮上してきた。しかし、制度やコスト、海況の厳しさなどにはばまれている▼今回は、八重山を訪れる観光客に、そのまま国境を越えてもらい、台湾から帰ってもらうというアイデアが台湾側でも思い描かれている点が心強い。ともに中央から離れたエリアを重ね合わせ、新たなコアを創出するという理念は受容されるだろう▼コロナ後の旅行需要がどのように回復するのかは見通せない点も多い。コロナ前の状態に戻す方法もあれば、コロナを機に新たな観光需要を獲得する方法もあろう。2枚の歯車がうまくかみ合って前進することが理想だ▼コロナで海外旅行ができない期間は2年にもなる。猛烈な円安は、少なくともインバウドには追い風だ。経験したことのない環境だけに、直行航路開設もチャレンジする価値があるというものだ▼肝要なのは与那国単独で台湾と向き合おうと力み過ぎないことだ。台湾から与那国に渡り、さらに石垣、竹富、沖縄本島に向かうルートもあるだろうし、その逆もしかりである。圏域を網羅した緩やかな枠組みで実現を目指してほしい。（松田良孝）
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