エーマンチュ（八重山住民）ならほぼ知っているピィパーズ（和名・ジャワナガコショウ）の栽培が、本島地区で広がっている▼そば、島料理には欠かせないコショウで、産品としても人気だ。復帰前は多くの民家の石垣に巻き付いていた。主婦は調理前に２～３本採って、香り付け▼東南アジア原産の植物で沖縄に入ってきた時期は知らないが、本島ではなぜか不人気。栽培しているのは八重山出身者やその関係者が大半。石垣市内でも、ブロック塀が主流になってからは加速してその姿を消した▼ピィパーズ栽培は意外と難しい。指導者がいれば簡単だろうが、過去に３度失敗した。ブロック塀に生やそうと思ったがダメで、平得の民家からもらってきた石付きの苗も、長持ちせずに枯れた▼過去に石垣市が「ふるさと創生資金」を活用し、「ピィパーズ」と「赤瓦」の町並みを推進する計画をたてた。ところが苗の増産ができず、いつの間にか頓挫、何もなかったかのように忘れ去られている▼しかし素晴らしい計画だ。いまは金を出せば良い製品が買える時代だが、モノの価値観を大切にする時期でもある。近年は本部町がピィパーズ栽培に熱心で、石垣市が果たせなかった町並みを実現するかも。ひょっとすると、「栽培方法は本部町に聞け」という時代が来るかもしれない。（黒島安隆）
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