【小浜】前町長が町発注事業をめぐる汚職事件で辞職したことに伴う竹富町長選(12日告示、17日投票、18日開票)は、元町職員の前泊正人氏(44)と町議の那根操氏(70)による前哨戦が本格化している。告示日を約1週間後に控え、両陣営は着々と準備を進めており、告示までには有人島を一巡する予定だ。ほかに出馬の動きはなく、両氏による一騎打ちの公算が大きい。
前泊、那根両氏は2日午前8時半ごろ、それぞれ八重山観光フェリー、安栄観光の定期旅客船で小浜島入り。到着が重なったため、ターミナルの前で鉢合わせに。がっちりと握手を交わし、「お互い頑張りましょう」と声を掛け合った。
小浜島にはリゾートホテル2社が事業を展開。ホテルの従業員票も加わるため、島単位でみると西表に次ぐ大票田となっている。
前泊氏は出馬の意向を固めて以降、2回目の小浜島。地元の大久研一町議や大久氏の支持者らを中心に支持拡大に努めている。
この日は小浜公民館で決起集会を開催。後援会の上勢頭保共同代表、黒島茂信小浜支部長、宮良道子町議らのほか西表東部・西部、黒島、波照間から代表者も駆け付け、50人以上が集まった。
集会を終えた前泊氏は「皆さんの思いがひしひしと伝わった。大久さんの心強い後押しもあり、皆さまから全力で進もうというパワーをいただけた」と語った。
同氏は新城島で町内を一巡することになる。
那根氏は、地元の上盛政秀町議の案内で、選対本部長に就任予定の新田長男氏のほか仲里俊一、加屋本真一氏ら町議とともに島内を回った。同島には、那根氏が関わる民俗芸能の関係者や西表島にゆかりがある住民も暮らす。郵便局員の経歴も生かし、郵便局OBの支援も取り付けたい考え。
那根氏は「住民皆さまから温かく力強い言葉をいただき感謝。島のサトウキビ、昨日の黒島で意見を頂戴した畜産の振興へ行政の手当てが大事だと再認識した」と話した。
1日の黒島を皮切りに巡回を開始し、この日午後からは竹富島にも入った。今後、他の有人島にも出向く。
前哨戦では、知名度の低さを挽回しようと、精力的に町民との対話を重ねる前泊氏が先行気味だ。対する那根氏は町内のスポーツや公民館、民俗芸能活動で知名度があり、残り1週間で追い上げを図る。
一方、前町長の汚職事件をめぐって町民からは「政治にあきれている」と冷ややかな声も。70代男性は「投票に行かない棄権票が増えて投票率が下がるのでは」と予想する。
2016年の前回投票率は82・18%で過去最低だった。両陣営には、政治への信頼を取り戻すことも求められている。