石垣市が2022年度から整備を予定する南ぬ浜町へのCIQ(税関・出入国管理・検疫)機能を備えたターミナル建設事業は、2022年度港湾事業特別会計予算に財源として沖縄振興特別推進交付金(特別枠)の5億256万円を計上したが、22年度政府予算で同交付金が大幅に減少されたのを受け、現段階では確保できていない。港湾課によると、同交付金の一般枠やその他の財源の可能性について県と調整していく。市議会は、国に対して予算措置を求める。
市は当初、20年から21年度にかけて整備する予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響でクルーズ船の寄港が皆無となったことなどにより見送った経緯がある。今回、アフターコロナの観光振興を見据え、大型クルーズ船の誘致に向け22年度から23年度にかけて整備する計画を立てた。
22年度事業費は6億2820万円で、うち8割を特別枠で予定。県とも調整して当初予算に計上したが、その後の政府予算決定で同交付金の大幅減が確定し、県が特別枠を見送ることになったため、市は当初予算に事業費を計上したまま財源の調整を行っていくことに。3月定例市議会も28日、最終本会議で予算案と国に予算化を求める意見書を全会一致で可決した。
下地敏之港湾課長は本会議で「現時点で財源の確約はできていないが、一般枠やその他の財源の可能性もあるため、当初予算から事業費を減額せず、引き続き要請していく。新港地区にはすでにクルーズ船岸壁が整備されているので今後国とのさらなる連携強化を図るため、また大型旅客船の寄港誘致にCIQ施設が必須となるため減額しなかった」と理解を求めた。
意見書は長山家康氏が提案。「現状では、財源に乏しい本市で単独事業での予算確保は限界があり、同計画の頓挫の可能性が出てきた」と憂慮、「CIQについては所管が各省庁にまたがるもので国が主体となり責任をもってインフラ整備や人員配置を担うことが望ましい」と指摘した。
その上で「全国各地の港湾ではクルーズ船寄港誘致への取り組みが活発化しており、競争力を高めるためにもCIQ機能の強化を含めたターミナル整備の受け入れ態勢の充実は急務」としている。近く国に直訴する。