【与那国】与那国町議会一般質問で16日、住居不足問題を巡る議論があり、陸上自衛隊与那国駐屯地の自衛官が民間住宅を賃貸し、確保していることが一因として浮上した。島内では移住を計画しても住む家がないとされている。民間住宅の“争奪戦”にもなりかねず、町当局は自衛隊側に「官舎に移って」と要望している。
住居不足問題は市成寿次氏が質問した。町役場の新規採用予定者の住宅が全員分確保されたことを確認しつつ、慢性的な住居不足を指摘。「民間アパートが空いていると思っているのか」とただした。
上地常夫総務課長は「民間アパートは自衛隊に押さえられており空いてない。高額な料金で押さえているので優先的になる」と状況を説明。「自衛隊は官舎を増やしていくので、民間でなく官舎に移ってほしいと伝えている」と述べた。
糸数健一町長は「(自衛官には)家賃7~8万円でも民間を借りてもいいという人もいる。それが一般町民の住宅事情を圧迫している面はある」と指摘した。
小嶺長典企画財政課長は「与那国への移住相談はことし20件以上あったが、ネックは住居問題。地域おこし協力隊が空き家を利用できないか調査している。新しいメニューとして補助事業をみつけたい」と補足した。
市成氏は「保育園でも新しい職員を呼びたくても住む所がない。公務員住宅を建ててほしい。今こそ計画すべきだ」と訴えた。
上地課長は新たな公務員宿舎の候補地として3棟6世帯の測候所宿舎を挙げ、石垣島地方気象台にアプローチしていることを明かし、「教育委員会、企画財政課も含めて町の方針を決める必要がある」と答弁した。
自衛隊駐屯地では約160人が勤務。国は2023年度ごろ、電子戦部隊を新たに配置する予定。糸数町長は與那覇英作氏の質問に対し、「令和5年度中には自衛隊が70~80人増員する」と述べており、約240人に拡大する見通し。