温かい家族に囲まれ、孫の成長を見守りながら地域社会で生活する。内閣府が20～79歳の男女を対象にした子育て調査で、家族との理想の住み方は親子と祖父母の：近居；との結果が出た▼共働き家庭が増える中、祖父母が育児や家事の手助けをすることが望ましいとの回答も78･７％に上った。調査からは孫を育てるのに積極的な「イクジイ」「イクバア」の力が必要とされていることが浮き彫りになった▼人生の先輩が子育てに重要な人材。うれしい傾向である。人が人を支えるのはやはり尊いことだ。孫の子育てが、心の底から生きがいとなれば「長生きして良かった」と思う祖父母も多くなろう▼誰にでも訪れる老年期は人生の総決算である。老人ホームで快適に過ごし、時にはボランティアの子どもたちとの交流に心和ませる。取り立てて不自由のない日々だが、心の支えとなる肉親がそばにいない寂しさがつきまとう▼介護職の友人は「いくら入所のお年寄りと仲良くなっても家族には到底かなわない。子や孫が来ると表情が見違えるほど明るくなる。中にはうれし涙を流すお年よりもいる」と話す▼祖父母が住み慣れた地域で健康的に生きがいを持ち安心して暮らす。孫の子育てを通して、三世代が交流する理想の高齢化社会の実現と高齢者を敬う心も育てたい。(鬚川修)
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