「もったいない」。私たちの生活で、よく使われる言葉だ。仏教用語の「勿体(もったい)」無いの意味が転じ、一般的に「物の価値を十分に生かしきれず、無駄になってる」状態を戒める意味で使われている▼この言葉が、10年ほど前から「MOTTAINAI」として、世界に広がっている。普及提唱者はケニア出身の環境保護活動家で、ノーベル平和賞受賞者のワンガリ・マータイさん。外国で「もったいない」のように一語で表す言葉がなかったという▼むかしはその言葉をよくつかい、あらゆる形で実践した。家の前に一斗缶がつり下げられ、家庭の食べ残しは缶に入れ、朝になると養豚農家が回収して回った▼農家は栄養価の高い飼料をタダで得られ、一般家庭は残飯の臭いやハエなどの処理に悩まずにすんだ。効率の良い循環型の社会である▼ところが豚肉価格が上がらず、養豚農家は次々と廃業、牛へと業種を切り替えた。もし、昔のように一斗缶を電柱に下げると、カラスの攻撃や通行人からの苦情が集中しそう▼しかし大量に廃棄される食品を見ると「もったいない」と思う。食べ残すと心苦しく、このため最近はコンビニやスーパーに行くと棚の手前側、賞味期限が残り少ないものから買うよう、「MOTTAINAI」運動をプチ実践中だ。(黒島安隆)
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