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ヤエヤマヤマガニ発見 小浜島で良好な生息環境

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ヤエヤマヤマガニ(オス)の標本

 石垣島と西表島の固有種とされてきた「ヤエヤマヤマガニ」が小浜島でこのほど発見された。県、県立芸術大学、琉球大学の研究者らの調査によって見つかり、26日付で日本甲殻類学会の学術雑誌「キャンサー」で公開された。

 ヤエヤマヤマガニは、甲幅が45㍉に達する大型のサワガニ類で、ヤエヤマヤマガニ属に属する唯一の種。陸棲傾向が強いサワガニ類として知られ、水辺付近の軟らかい土地や土手に巣穴を掘って生息している。

 メスは大きな卵を少数産み、ふ化した稚ガニは親とほぼ同じ形で、親と同様の環境で生涯を過ごすことが知られている。このため、海を介した島間の移動ができず、石垣島と西表島でのみ生息が確認されていた。

 今回の調査で小浜島にも分布することが明らかとなった。同島では広範囲の小河川、湧き水、湿地の周辺に生息。15地点を調査したところ、9地点で確認された。特に大岳周辺の水域では個体数が多かった。いずれの地点でも、大規模開発など人為的影響を受けている様子がなく、極めて良好な生息状況にあることも明らかとなった。

 研究者らは「本種は石垣島、小浜島、西表島が陸域として接続していた頃からの生き残りである可能性が考えられる。一方、移入などの人為的影響の可能性も否定できないため、今後さらなる研究が必要」としている。

 今回の調査は、県の生物多様性おきなわブランド発信事業の一環として2019年に実施された小浜島での現地調査(生物調査)の過程で発見された。同種は、竹富町の自然環境保護条例で指定されている特別希少野生動植物となっているため、現地調査では同町の許可を得た。調査研究後の2020年11月1日に施行された県希少野生動植物保護条例で希少野生動植物種に指定されている(写真はいずれも県立芸術大学の藤田喜久氏提供)。


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