8年前に初めて与那国町長選を取材したとき、異様な光景に衝撃を受けた▼投票所入り口に赤字で「警告」の文字。有権者が候補者名を記入した投票用紙を互いに見せ合ったり窓越しに見せたりする行為が常態化。投票強要や投票監視につながりかねない。そこで町選管が公職選挙法第228条の「投票干渉罪」に抵触するおそれがあるとして警告を発していたのだ▼それでも、現場では運動員が隣接地に駐車させた車や道路沿いから有権者の投票行動に目を光らせていた。投票所に向かう有権者に声をかけ、警察官に退去を命じられる一幕もあった▼そして今回。期日前投票所の入り口に公職選挙法の条文が張り出された(5日付1面)。投票の秘密保持を規定する第52条と投票所の秩序保持に関する59条と60条など▼「誰かの指示などで、投票用紙に書いた立候補者の氏名を教えることはしない」「投票所の秩序をみだす者があるときは、投票管理者はこれを制止し、投票所外に退出せしめることができる」などの説明文がマーカーで強調されている▼これに関係なく新型コロナウイルスが制限をかけている。感染防止対策から投票エリアに入れるのは1人と限定されているからだ。禍転じて…ではないが、”監視選挙“とはもうおさらばしよう。(比嘉盛友)
↧