日本が推薦した「奄美大島、徳之島、沖縄北部及び西表島」(鹿児島、沖縄)の世界自然遺産登録が26日、オンラインで開催された国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第44回世界遺産委員会で決まった▼イリオモテヤマネコやヤンバルクイナ、アマミノクロウサギに代表される希少な固有種が数多く生息する「生物多様性」が評価された▼2003年に環境省と林野庁が国内候補地として選定してから18年、17年の推薦から4年。18年の「登録延期」勧告を受けての推薦取り下げ、19年の推薦書再提出の経緯を経ての決定だ▼ただ、登録に当たり、希少種の輪禍対策などが課題として国際自然保護連合(IUCN)から指摘されている。登録により、観光客の急増が見込まれる。それだけ輪禍被害、自然環境への負荷が増すことに。対策は急務だ▼本島北部、奄美が歓迎ムードなのに対し、西表にはそれが無い。登録による住民生活面への影響やオーバーツーリズムに拍車がかかることへの懸念もある▼入域観光客に、自然環境や住民生活、文化などに責任を持ってもらう「責任ある観光」の推進や入域客の総量規制などが検討されている。生物多様性が認められた自然を未来に引き継ぎ、住民生活と調和した遺産となるよう、実効ある対策が求められている。(下野宏一)
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