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「自給のための稲作りを」 会員らが伝統農法に挑戦

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稲の苗を育てるため、苗代に種をまく参加者ら=4日午前、名蔵シーラ原の水田

 農薬や化学肥料を使わず石垣島の伝統的な手法で稲作に挑戦する取り組みが盛り上がりを見せている。発起人は3年前に石垣島に移り住んだ笹村出さん(71)だ。「市民が自給のための稲作りをすること」を目標に掲げている。

 神奈川県小田原市の農地で笹村さんが30年近く取り組んできた「自給のための農業」を石垣島でもやってみようとの機運が高まり、6月に「石垣島田んぼの会」を結成。大濵永太郎さんの水田1反4畝(約1380平方㍍)を借地して始まった。会員募集には30人以上の応募があった。

 3回目の活動となる4日は20人余りが参加。午前9時から、田植えまでの間に苗を育てる幅1㍍長さ20㍍の苗代に、10日ほど浸種した種もみをまき、虫や鳥による被害を防ぐためネットをかぶせた。

 約20年ぶりに石垣島の水田に水牛も現れ、田植え前に水田の土を細かく砕く「水牛耕耘」が復活。参加者らも手綱を持って水牛を引き、昔ながらの手法を体験した。

 活動を始めた経緯について笹村さんは「石垣の人の中にも有機農法の稲作をやりたいとの希望があり、どうせやるなら伝統農業をと思って苗代で種から育てることにした」と説明。

 「一人分の米なら1畝や2畝で十分できるが、そういった農業には全て手作りでできる技術が必要。『自給分のための稲作り』をできるようになって、石垣島の田んぼが減るのを防ぎたい」と話した。

 水牛と一緒に泥だらけになりながら水田をならし、肥料をまいた米川めいちゃん(10)とゆいちゃん(6)姉妹=真栄里=は「水牛を引くのが一番楽しかった。田んぼに入るのは初めてで、柔らかくて気持ちよかった。種のまき方とかも教えてくれて、自分たちでもやってみたいなと思った」と笑顔を見せた。

 今回まいた種はおよそ5週間で苗まで成長する見込み。選別や田植えを経て、10月末ごろ収穫を迎える予定。同会では現在2期作目の田んぼを借りているが、本格的に活動するための田んぼを随時募集している。

 

■水牛で代掻き 20年ぶりに再現

 名蔵シーラ原の水田で4日、土を砕いて表面を平らにする代掻きが水牛を使って行われた。20年ぶりに再現され、むかしの稲作風景をほうふつとさせた。水牛は現在、石垣島にはおらず、水牛観光で活躍する竹富島から借用。新型コロナウイルスで低迷する観光から農耕に活躍の場を広げている。


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