特殊病害虫ミカンコミバエがことし5月以降、石垣島でのトラップ調査で計7匹確認された。2017年に34匹が確認されて以降4年ぶり。石垣市は、産卵場所をつくらせないため庭先の落下果実を放棄せずビニール袋で密閉して廃棄するなど家庭での定着・まん延防止対策を呼び掛けている。
ミバエは、かんきつ類だけでなくパパイア、マンゴー、グァバ(バンシロウ)、バナナ、アセロラ、トマト、ピーマンなどの果菜にも産卵。幼虫が果菜に加害、腐敗させる。
八重山諸島では1986年2月、ミカンコミバエ群種の根絶が確認されているが、台湾や東南アジアなど発生地域から吹き込む風に乗って島内に飛来しているものと考えられている。
石垣島ではことし5月に2匹、6月に5匹確認された。4年前の確認時には島内全域で防除した。県内では6月22日以降15市町村で確認されている。県外では鹿児島、長崎、熊本でもみつかっている。
八重山では県特殊病害虫防除対策八重山支部を中心にミバエ誘殺板を設置、散布するなど定期防除を実施。市内では44カ所に年1万5000枚を設置し、定期的に侵入警戒調査を行っているが、定着してまん延化すると植物防疫法に基づく緊急防除として島外への果実の移動制限など厳しい措置がとられる可能性がある。
市は、落下果実の密閉廃棄のほか、ウジが発生するなど異常がある場合には関係機関に連絡するよう協力を求めている。連絡先は市農政経済課(82―1307)、県病害虫防除技術センター八重山駐在(82―4933)、県八重山農林水産振興センタースタッフ(82―3043)、県農業改良普及課(82―3497)。
【ミカンコミバエ根絶の経緯】1919年に嘉手納で確認されたが、すでに県全域で発生したとみられ、22年にかんきつなどの県外出荷が禁止。72年の本土復帰と同時に始まった根絶防除事業によって82年に沖縄群島で、84年に宮古群島で、86年に八重山群島でそれぞれ根絶が確認された。