新型コロナウイルス禍に見舞われた2020年5月と比べ21年5月は、会社都合の離職者が減っていることが6月30日、八重山公共職業安定所(真壁朝文所長)の調べで分かった。5月中に雇用調整助成金を申請した事業者数は前年5月比で6割増加しており、経営者が国の制度を積極的に活用してスタッフ維持に努めていることがうかがえる。
会社都合の離職者は、新規求職登録者数から割り出した。5月の新規求職申し込み223件中、会社都合での離職は22・2%(30人)。前年5月だと全体の34・4%(65人)だったため、54%(35人)減ったことになる。
会社都合の離職が減ったことは、雇用調整助成金の積極的な活用が要因と見られている。“コロナ禍元年”となった20年4月の申請事業者数は周知不足もあって1件だが、翌月5月に117件と増加。コロナ禍2年目となったことしは、4月291件、5月310件の申請があり、すでに20年度1年間の525件を上回っている。
これらの動きについて同所の真壁所長は「前年5月は初めて緊急事態宣言を経験した。雇用調整助成金も十分活用されておらず、雇用維持が困難になり雇い止めもあった。ことしも緊急事態中だが、以前より助成等を活用して雇用維持が1年前より進んでいる」と分析する。
その一方で、在職者の新規求職登録は増加。前年5月が新規求職者の15・9%(42人)だったのに対し、ことし5月は26%(58人)に増えた。在職者の新規登録は通常だと全体の20%ほどだが同所は▽コロナ長期化を見据え、より良い職場探し▽ダブルワークが浸透―と予測した。
5月の有効求職者数のうちコロナ離職・休業者数は67人。このうち5月の新規離職・休業者は3人いる。