㈱八重山食肉センター(代表取締役・中山義隆石垣市長)は29日、2020年度第48期定時株主総会をJAおきなわ八重山支店で開いた。純損失額は、昨年度の599万円から大幅に増えて過去最大の2175万円となった。新型コロナウイルスの影響により本土での石垣牛などの需要が大きく落ち込み、と畜頭数が減少したことが響いた。累積赤字は1億139万円と膨らんだ。売上高は1億2055万円だった。
収入の柱となると畜実績は、牛が前期より175頭(10・2%)減の1534頭、豚が同171頭(8・3%)減の1157頭だった。ヤギは市山羊生産組合設立による増頭の取り組みや市のヤギ増殖改良推進貸付事業の実施で411頭だった前期に比べ、104頭(25・3%)減となった。
観光客の減少や全国的な肉の消費の落ち込みにより、今年に入ってもと畜数激減が続いており、6月には週3回の牛のと畜を週2回に減らしている。
21年度の石垣牛の出荷頭数は多く見積もって750頭程度と過去5年平均と比較しても65頭減で、ほかのブランド牛も同じ状況にあるという。
新型コロナの収束が見通せないなか、センターでは週3~4回の頻度で本島に輸送していた残渣の処理を週2回に減らすほか、焼却処分費などの製造経費を削減。赤字幅の圧縮を目指し、815万円程度の純損失を見込んでいる。
21年度事業計画では、問屋などを対象にした業務用の食材を扱うウェブサイト「Mマート」を活用した販路拡大を掲げ、と畜の増頭による収益増を図る。
6月からは福岡の卸売業者と取引をスタート。月に4~5頭の取引で年間850万円程度の売り上げを見込む。
食の安全性を確保するための衛生管理方式ハサップ(HACCP)は、3月に日本食肉生産技術センターの認証を取得。6月からは県の担当者が常駐し、衛生管理手順などをモニタリング。海外販路開拓にも取り組むとしている。
県畜産振興公社の離島地域畜産活性化施設整備事業フォローアップ事業を活用した人材育成も強化する。
同センターの幸喜俊明総務部長は「畜産、食肉産業はコロナの収束がないと厳しい状況が続く。中小企業診断士なども入れて経営改善に取り組みたい」と述べた。