国際的な食品の衛生管理基準HACCP(ハサップ)の運用が1日から始まった影響で、石垣市内スーパーでも店頭に並ぶ出来たて熱々のあちこーこー島豆腐やゆし豆腐の量が減っている。温度管理や販売時間が制約されるなど管理基準が厳しくなっているからだ。製造販売事業者は苦戦を強いられており、「沖縄独自の食文化が衰退してしまう」と危機感を募らせている。
島豆腐は温かいままビニール袋に入れて販売するのが主流。しかし、同基準の適用により製造業者は豆腐の温度を55度以上に保ったまま出荷・運搬・納品しなければならない。55度未満になれば3時間以内に消費する必要があるため、店頭販売は2時間以内に限られている。時間内に販売できなかったものは廃棄される。
市内のスーパーや学校、飲食店などに島豆腐を卸している㈲豊見山食品(豊見山修司代表)ではハサップ義務化以降、納入量が半減している。
適用初日の1日は温度基準を満たせず納品できない豆腐も出た。そのため、運搬時には販売用の入れ物とは別の発泡スチロール容器に島豆腐を詰めるなどして保温、温度を下げないよう工夫した。
島豆腐は、加熱して型入れ前の温度が約70度。そこから圧搾・成型すると60~65度。型から出して切る工程までには58度近くに低下する。そのため製造直後に出荷・配達しなければならない。
従業員を抱えながら夫婦二人三脚で経営している同食品の豊見山麗子さんは「今まで頑張ってきたから悔しい。あがいても仕方がないからできるだけのことをやって、あとは冷蔵のパック豆腐で我慢してもらうしかない」と話した。