石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備計画をめぐり、沖縄防衛局が旧ジュマールゴルフガーデン周辺の予定地で伐採などを行うため石垣市に提出した行為通知書に疑義が出ている。3万本以上ある伐採樹木のうち防衛局は景観形成審議会でサキシマスオウノキが約284本、アマミアラカシが約8812本あると説明したが、同局が工事着手前に予定地で実施した現況調査報告書に両樹種の記載がないからだ。石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会が5日明らかにした。
連絡会が情報公開請求で入手した行為通知書によると、旧ガーデン周辺で取得した市有地など約24.3㌶のうち約19.1㌶で工事を予定し、このうち伐採・除根面積は約8.2㌶。施工期間はことし4月1日から23年3月末まで。連絡会によると、旧ガーデン隣接地の一部で伐採が始まっている。
しかし、伐採が予定されているサキシマスオウノキとアマミアラカシについては、防衛局が専門業者に委託して実施した950㌻余りにも及ぶ現況調査報告書(2019年3月)の出現種リストでそれぞれ属すべき「アオイ科」、「ブナ科」への記載がない。連絡会のメンバーも両種が存在するとの情報を得ていない。
市は、景観法に基づく沖縄防衛局からの行為通知書を4月13日付で受理。同23日開催の景観形成審議会発言記録を添え、5月14日付で防衛局に協議を終了したと通知した。
■伐採作業の中止を 連絡会、解明求める
連絡会は「防衛局はどのような調査資料を基に行為通知を作成し、景観形成審議会に説明したのか明らかにする責任がある」と指摘、行為通知書に誤りがある場合には「景観形成審議会のやり直しが必要。疑義が解明されるまで石垣市は防衛局に対し伐採作業の中止を求めるべきだ」と要求した。
仮に行為通知書に記載されている通り樹高約9㍍のサキシマスオウノキが約284本が存在している場合には「天然記念物に指定されるような貴重な存在。詳しく調査すべきで、伐採などとんでもないことだ」としている。
於茂登岳にあるンタナーラのサキシマスオウノキ群落は2015年に天然記念物に指定されている。