嵩田地区で島本農園を営む島本哲男さん(70)と31年間、苦楽を共にしてきたマンゴーの木が今シーズンで最後の収穫を迎える。マンゴー栽培を手がける前はパイナップルを作っていたが、自由化の影響でパインの缶詰加工工場が相次いで閉鎖されるなどしたため30年ほど前にマンゴー農家に転身。当初は、うまくいかないことも多く、島本さんは「借金地獄だった」と振り返る。
最初に建てたハウスの中に100本のマンゴーを植えた。木が大きくなるとともに間引き、現在は10本が残り、それぞれの木には千個ほどのマンゴーがたわわに実っている。
高さ数十㌢ほどだった苗は30年余りの時を経て枝ぶり10㍍四方、高さ1・8㍍に成育した。10㌃ほどのハウスの限界を超えつつあり、管理も大変になってきたことから、断腸の思いで今シーズンの収穫を終えると同時に更新予定という。
マンゴーの木を前に島本さんは「あまり未練を残すと倒せない。苦楽を共にしたが、これ以上は管理が大変。剪定して木を縮めると実がならないので仕方がない」と話した。
最後のマンゴーは7月上旬に収穫予定。今期の出来について島本さんは「冬場は寒く花がつくのが遅かったが、結実してからは気温が上がり一気に大きくなった。ここ数年で一番いい出来だ」と満面に笑みを浮かべた。