本格的な夏を前に自然界では、鳥たちが子育て真っ最中。親どりがひなの餌となる虫をくわえ、せっせと巣に運ぶ姿が見られる。つがいで協力しながら子育てする光景は見ていてほほえましい。すべてが無事に巣だってほしいものだ▼以前、会社の軒下にツバメが巣を作り、無事にひなを育て上げた。ツバメは車庫など、人の近くで巣作りするケースがあるようだ。風雨がしのげ、人間がいることで外敵が近づかず安全なことを知っているのかも知れない▼ただ、子育て中のカラスには要注意だ。巣に近づく物には攻撃を加え、追い払う。それは人間に対しても同じだ。鋭いくちばしでつつかれるとけがをすることも▼知人によると、家の近くに巣を作ったカラスに、家にもどるたびに攻撃され、地面に落ちて死んだひなを片づけた後も、まるでかたきのように親鳥から攻撃されたという▼親鳥はひなが居なくなって数日は、近くにとどまっていたようだ。ひなの死をすぐには受け入れることができなかったのか、親鳥のひなへの深い愛情が感じられたという▼人間社会では育児放棄や、子どもを車内や家に置いたまま遊興に走る親のニュースも聞く。自らを犠牲にしてまで子を守り、育てる野鳥から、子育て本来の姿や子どもへの愛を学びたいものだ。(下野宏一)
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