石垣市が4月15日付で内閣府の「スーパーシティ型国家戦略特別区域の指定に関する公募」に応募した提案が、公募要領の要件を満たしていない可能性のあることが分かった。要領などでは事前の住民意向把握を明記しているが、市は実施していない。一方、新石垣空港周辺ではすでに市の連携事業者が地権者と事前交渉を行っていることも判明した。
公募要領によると、応募書類への記載事項「住民等の意向の把握」には▽住民説明会の開催、パブリックコメントなど住民その他の利害関係者の意向把握のために講じた措置の内容―を挙げる。さらに特区の指定基準では、応募に当たっては▽事業計画の内容、期待される効果・影響及びそれへの対応策などに関する住民説明会の開催、パブリックコメントの実施など事前に住民等の意向把握のため必要な措置を講じていること―と明記する。
これに対し市は応募書類に「市域内の未活用用地を利用したグリーンフィールド形式での実施を想定しており、構想実施区域内に居住する既存の住民は存在しないことから、現状において住民説明会やパブリックコメントなど住民の意向把握のための特段の措置は講じていない」と記載、特区として指定された場合に実施し、これを基に実施区域や実施内容を最終決定していくとしている。
市の提案は市全域を対象区域とし、未活用地での実施を計画。イメージとして石垣空港周辺敷地約175㌶、石垣港港湾整備計画地敷地約66㌶を挙げ、「石垣空港周辺敷地については、事業者と地権者との間で事前に交渉は行われている」と記述した。市の連携事業者には不動産会社も入っている。
応募要件を満たさない可能性について小切間元樹企画部長は取材に未利用地に居住する住民がいないことを理由に挙げ、「国が判断することになる」と説明。住民の意向把握について「市民の意見が一番大切だと考えている」と述べ、指定後に行っていく考えを示した。空港周辺敷地の事前交渉の詳細については民間取引のため把握していないという。
内閣府の公募には全国31自治体から応募があり、沖縄県からは唯一石垣市のみ。同府は5月以降の専門調査会で区域指定の原案を検討し、国家戦略特区諮問会議が区域指定案を具申し、閣議で区域を決定する流れとなる。