21日、開かれた県教育委員会定例会で、八重山地区の教科書採択地区は竹富町が単独の「竹富採択地区」、石垣市と与那国町が合同の「八重山採択地区」と決まった▼市町村ごとの採択地区を可能とした改正教科書無償措置法に基づき、県教委が単独地区を希望した同町の意向を尊重し、従来の3市町で構成する採択地区から分離した格好だ▼だが、市教委と与教委は「八重山地区は文化的にも経済的にも一体」として、今回の決定に異論を唱える。地区分離が教育面の連携に影響を及ぼすことがないよう要望したい▼竹富町が単独地区となったことで、次回の教科書採択から教科書の無償措置も復活する。採択地区協の答申と異なる教科書を使用しているとして、国が指摘する違法状態は自動的に解消される▼そうなると、国が視野に入れる竹富町に対する違法確認訴訟もメリットがなく、見送られる公算は大きく、2年9カ月に及ぶ八重山教科書問題は収束をみそうだ。その意味で、今回の地区分離の意義は大きい▼改編した採択地区は本年度の小学校の教科書採択から適用される。県教委は、同町の教科書研究を支援するため、八重山教育事務所に担当者を配置する。単独になることで町教委、町内の子どもたちに不利益が生じないよう、適切な措置が必要だ。(下野宏一)
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