■女性は減少も全国10位
石垣市の男性は、65歳未満での早世いわゆる早死にが多く、2005年のワースト3位から10年は全国1位の沖縄県に並んでいることが分かった。女性は6位だった沖縄県が男女ともに全国1位になり、当時埼玉県に続くワースト2位だった石垣市は、大幅に改善されて10位となったが、それでも依然全国上位であることが分かった。
これは、このほど石垣市が策定した健康増進計画「健康いしがき21」(第2次)のデータで、沖縄全体が全国トップの早世だが、石垣市も同様であることが明らかにされた。
かつて長寿日本一を誇った沖縄の平均寿命は、男性が30位にさらに後退、女性も長野にトップを譲り3位に陥落した。さらに平均寿命の伸びも全国平均が男性は79.59歳に0.80歳伸びたのに対し沖縄は32位の0.76歳、女性は同86.35歳に0.60歳に対し、沖縄は46位の0.14歳とわずかだ。これは沖縄が今後なお順位を下げ、健康長寿が危機的状況にあることを示している。
現在長野が男女とも長寿日本一になっているが、県では2040年までの「首位奪還」を目標に今年から県民運動をスタートさせた。八重山も連動して市民運動・郡民運動が必要だ。
■まちの活力弱める早世
石垣市では毎年400人前後が死亡しているが、10年は男性が全体の27.5%の62人、女性は10.4%の16人が65歳未満で死亡している。最も低いのは男性が長野の14.2%、女性も島根と長野の6~7%となり、長寿日本一を裏付けた。死因はがんをトップに脳血管や心疾患・肝疾患の病死が大半だが、自殺も10人でがんに次いだ。
働き盛りの65歳未満の死亡が多いということはそれだけまちの活力も弱くなり、衰微していくことになる。新空港効果で今年は観光客が急増し、出生率も高く元気な石垣市だが、一方ではこうした厳しい現実もあり、沖縄県とともに早世対策は大きな課題だ。
石垣市健康福祉センター(前底正之所長)では、「健康いしがき21」に基づき▽健康寿命の延伸と健康格差の縮小▽生活習慣病の発症予防と重症化予防▽乳幼児期からの食生活・運動・飲酒・喫煙および歯の健康に関する生活習慣の改善などに積極的に取り組んでいるが、その割に成果は思うように出ていないというのが現状だ。
■青壮年期対策がカギ
特に各種がん発見や生活習慣病の発症・重症化の予防となる特定健診は、受診率は全国や県平均を上回る40%台に増えたものの、その後の保健指導を受けたのは県平均より低い30%台で具体的な健康対策には至っていない。
検診受診者も60代以上は40%以上と比較的健康に関心は高いが、40~50代の男性は4人に1人、女性も3人に1人と少なく、これらが重症の要介護や早世の大きな要因になっている。
増え続ける医療費や介護保険費増に歯止めをかける“健康長寿沖縄”復活は、こうした検診を受けない・受けたがらない働き盛りの青壮年期の人々に、まず各種検診をどう受けさせるかが最大のカギ。ターゲットを定めて取り組めば方策は見えてくるはずだ。