埋め立て工事が進む旧新栄町船だまりに放置されている漁船の処分を促進するため、石垣市水産課(平良守之課長)は11月中に放置船に勧告書を貼り付け、来年1月までに所有者が適正に廃棄しない場合は同船だまり内の一角に一時的に集積する予定だ。同課は「個人の財産なので行政が勝手に撤去するわけにもいかず、所有者が責任をもって廃棄するなり、撤去するなりしてほしい」と呼びかけている。
同課によると、旧新栄町船だまり周辺には約15隻の放置船がある。大半は登録されているため所有者が判明しており、所有者に撤去を依頼している。
周辺住民からは「船が放置されているから埋め立て工事が進まないのではないか」と危惧する声も上がっているが、同課によると、工事への直接的な影響はないという。
工事は現在、埋め立て後に地盤をならすため中断しているが、同所には将来的に漁業者住宅や公民館の建設などが予定されている。
船舶の多くは繊維強化プラスチック(FRP)製。処分には1隻当たり30—40万円ほどかかるため、同課ではFRPリサイクルシステムを奨励していくという。
また、所有者がすでに亡くなっているケースもあり、平良課長は「行政が所有者に代わって処分する行政代執行の手続きもあるが、基本的に代執行は考えていない。相続権などが発生するため処分が難しいケースもあるが、サバニなどをモニュメントとして活用したいという居酒屋などの希望があった場合、放置船の所有者に仲介していきたい」と話した。