那覇支局時代の2005年、石垣島で犬をめぐるトラブルが相次いでいた。八重山保健所に捕獲された野犬や持ち込まれた犬は年間700頭余りいた。その8割が、飼い主が現れなかったり、譲渡先がみつからなかったりして本島に送り込まれていた▼そんな犬たちがその後、どうなっていくのか。知りたい、知らせたいと取材し、「捨てられた犬の行方を追う」と題して連載したことがある▼コンテナが立ち並ぶ那覇新港の一角に1㍍超四方の金網状のオリがぽつんと置かれていた。中に16頭の犬。ぎゅうぎゅう詰めで馬乗りのような姿勢の犬もいた。異臭が鼻を突く▼それからトラックに揺られること約40分。大里村の県動物愛護センターに移され、そこで処分を待つことに。収容から4日目、「炭酸ガスドリーム装置」に送り込まれた。丸い窓から中をのぞくと、助けを求めているかのような目。視線をそらしたくなった▼二酸化炭素の注入が始まると、口を上に大きく開けてもがく、もだえる。体が小刻みに震える。ほどなくしてピタッと動きが止まった。あの無残な姿が脳裏から離れない▼24日付1面で犬の殺処分が大幅に減少していると報じられた。行政や民間団体の取り組みの成果だと喜びたい。でも収容犬はいる。猫も多い。飼い主らは最期まで責任を。(比嘉盛友)
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