市民防災週間(24-30日)に伴い、石垣市は27日午前、住民を対象にした防災訓練を行った。市や消防など公的機関のほか、公民館や自主防災組織など27団体から2992人が参加、大津波を想定した津波避難訓練を実施した。一方、市内では訓練時間帯に公民館や農協などのイベントが行われるなど、防災週間の周知不足や行政と各種団体との連携の弱さが浮き彫りとなった。
全島一斉の防災訓練は今年で3回目。訓練は同日午前10時、石垣島南方沖を震源とする強い地震が発生したことを想定。石垣市で震度6を観測し、5㍍以上の大津波警報が発令されたのを受け、市は島内51カ所にある防災無線とエリアメールで一斉に避難を呼びかけた。
中央運動公園内の屋内練習場に石垣市災害対策本部(本部長・中山義隆市長)が設置され、警報の伝達、安否・被害情報の収集・確認などを行い、自衛隊への救助派遣要請を行った。
屋内練習場には市職員のほか、近くの住民が避難。避難場所が平真小学校から屋内練習場に変わった平得から最も多い166人が集まった。
平得の公務員宿舎近くの自宅から3歳と2歳の子どもを連れて訪れた女性(32)は到着するまでに25分を要し、「徒歩で来たが、子どもがいるので時間がかかった」と不安げ。夫(83)と車で避難してきた90歳の女性は「年を取っているので歩いたり、走ったりして逃げることはできない」と話した。
訓練では孤立集落を想定し、自衛隊のヘリ1機で小浜島と平久保から各9人を陸上競技場に搬送。第11管区海上保安部石垣航空基地のヘリ1機も初参加した。川満栄長竹富町長は「孤立しても助けが来るという安心感を与えるため、毎年、島を変えて行いたい」と訓練の意義を強調した。
会場では救命講習会、消火訓練なども行われた。自衛隊からはヘリ1機、展示車両12台、人員69人が参加した。
訓練時間帯に他の行事が行われたことについて市民からは「日程を調整できなかったのか」「避難訓練の最中にまつりを行うとは不謹慎」との声も聞かれた。