石垣市文化財審議会(石垣博孝委員長、委員10人)は25日午後、石垣市教育委員会で第2回会議を開き、宮鳥御嶽の南根腐病など天然記念物の保護や指定作業の進捗(しんちょく)状況、今年度の実施事業などについて情報を共有し、意見を交わした。
宮鳥御嶽の南根腐病については、ことし1月下旬に石垣字会と「八重山の御嶽」執筆者らが同病の防除処置を求める陳情書を中山義隆市長宛てに提出後、2月下旬に県農林水産部森林管理課の技師らが現場を確認して、字会役員に同病の概要や防除薬剤開発の現状、課題などを説明した経緯がある。
技師によると、同病に適用できる登録農薬が現時点ではない状態。県が15年度に開始した農薬登録に向けた薬効試験では、2種類の薬剤が土壌中の同病菌の繁茂力を抑えるのに有効と確認され(17年3月)、いずれも登録に向けて作業が進められている。
一方、薬剤を使った範囲の生き物は土の中の種も含めて全て死に、人間にも有害であることから、同課は「(使用は)ハードルが高いと感じている」と説明。 現状取り得る対策として▽発病区域の樹木の地上部と地下部を全て取り除く▽取り除いた部分は焼却処分▽発病区域と健全区域を隔てるトタン板を深さ1㍍程度立て込む▽薬剤が使用可能となるまで、発病区域に樹木を植えない|を挙げた。
国指定重要文化財の「旧宮良殿内」と国指定名勝の「宮良殿内庭園」については、屋内の板絵などの展示品や庭の状態が悪く、対策を求める声が委員から上がり、同課は「展示されている物に関しては保存していかないといけないと感じている。実物を置かなくても解説資料などで分かってもらえるようなアイデアを考えていきたい」「庭や建物は市庁舎の落成後に修復を予定している」と話した。