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懸念ぬぐえぬ処遇改善

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 国内の働き手不足を背景に外国人労働者の受け入れが拡大されることになった。 昨年12月、 与党の強行採決を経て改正入管難民法が成立、 4月から実施されることになったが、 見切り発車的な成立が波紋を広げている。

 ■半数が否定的

 少子高齢化の流れに歯止めがかからない状況を受け東南アジアを中心に外国に頼みの綱を求めた格好だが、 受け入れ企業には安い労働力への期待が見え隠れしている。 外国人労働者の処遇や社会保障など問題含みなのだ。

外国人労働者の受け入れ拡大で雇用主らに求められる生活支援や日本人と同等以上の報酬水準といった適正処遇について市区町村の半数近くが実現を懸念していることが共同通信の全国アンケートで分かった (11日付沖縄タイムス1面)。  

全国アンケートだから当然石垣市も回答を求められている。 受け入れ拡大そのものには県内でも賛成が48%を占めるが、 適正処遇では否定的な回答が45 %で 石垣市も 「どちらかといえば確保できない懸念がある」 と回答している。 来てもらうのは歓迎だが、 必ずしも適正な処遇が受けられるとは限らないですよということだろう。 そう解釈できる。 

 ■頑張る若者ら

 現在、 日本で働く外国人労働者は約1 2 8万人いると言われている。 うち沖縄県には沖縄労働局の調べで昨年10月現在8 1 3 8人。  前年同期比828人増という。 国籍別ではネパールが最も多く1998人(全体の24・6%)、 次いでベトナム1186人、 フィリピン1014人、 中国936人などとなっている。

那覇市内の居酒屋などでは接客する従業員のほとんどがネパール人だったりする。 日本語もよく習得していてテキパキと仕事をこなしている。 先日放送された沖縄テレビの番組ではスーパーやコンビニに卸す前の食料品の加工場やアパートなど建設現場で働くベトナム人の若者の様子を伝えていた。 型枠工などは現場に出るまでに一定の技能を修得することが必要で、 その資格試験が課せられる。 腕が認められ働けるようになっても5年が限度だ。 

こうした外国人労働者はそれぞれの国の送り出し業者に仲介を頼み、 県内の受け入れ機関にお世話になる。 頑張る若者らのお国では仕送りを待つ家族の期待が想像される。

 ■将来に不安も

 降って湧いたような外国人労働者受け入れ拡大問題。 遡って考えると戦後の高度経済成長期における農業社会から工業社会への移行、 都会への人口集中、 核家族化といった流れが想起される。 その結果、 少子高齢化が顕著になったのである。 物質的に豊かな日本を求めて突き進んできた結果が今日の働き手不足なのである。

一方で働き口はあるのに働かない若者が増えている実態も明らかになっている。 安定収入がなくても生きていける社会。 それに満足する若者たち。 将来、 この国はいったいどこへ行くのだろうか。 今回の外国人労働者受け入れ問題は、 日本社会の成り立ちや東南アジアとの関係など国際社会における日本の役割などを考える、いい機会になるのかも知れない。


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