■市長、原案執行権行使に慎重
12月定例石垣市議会(平良秀之議長)は25日の最終本会議で、来年2月24日に実施される辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票の経費を盛り込んだ一般会計補正予算案第5号を、2度にわたって9対11の賛成少数で否決した。中山義隆市長は報道陣に「議会の判断を重く受け止めたい」と述べる一方、これまで否定していた市長権限の原案執行権の行使については「他市町村の動向、県の指導助言も踏まえ、慎重に最終判断したい」と明言を避けた。
第5号は、総務財政委員会の報告後に否決された後、県が地方自治法177条第1項第1号で規定する義務費に当たると市町村に通知していることを理由に中山市長が再議に付した。野党側は、再議後の採決で無記名投票を求めたが、賛成少数で否決された。2度の採決でも野党8人と与党会派「未来」の箕底用一氏が賛成したが、少数で否決となった。「未来」の後上里厚司氏が退席した。
採決に先立つ討論で与党側は「原点である普天間飛行場の危険性除去は一切触れられていない。賛成反対の二択だけでは県民の意思を表現できない。当事者である宜野湾市議会の辺野古地区も反対の意思を伝えている」(長山家康氏)、「辺野古のキャンプシュワブの海側に拡張して早期に移転することが肝心。埋め立ての賛否だけでは普天間の返還がないがしろにされる」(仲間均氏)などとして反対した。
野党側は「普天間の危険性除去は反対の論拠にならない。今こそ県民が心を一つにして意思を表示するために行動を起こすべきだ。市議会の良識が問われる」(前津究氏)、「反対は民意を圧殺、封殺する暴挙。賛成、反対を堂々と言えばいい。これが民主主義の根本だ」(新垣重雄氏)、「主権者である県民を第一に考えるべきだ。県民が直接意思を表示しようということに反対するのは、民主主義を冒涜(ぼうとく)するものだ」(大濱明彦氏)などと主張した。
与党で唯一賛成した箕底氏は「私は先の(反対)意見書に賛成したが、県議会で審議を経て議決を経た。県議会は県内最高の議決権をもっている。民主主義であれば、しっかり予算を執行するのが市議会の立場だ」と述べた。