平得大俣への陸上自衛隊配備計画をめぐり、配備予定地のジュマール・ゴルフガーデンが都市計画法に違反して開発された可能性のあることが19日、分かった。12月定例石垣市議会で内原英聡氏の一般質問で明らかになった。安里行雄建設部長は、開発行為の許可について「県に確認したところ、ないということだった」と答弁。県八重山土木事務所建築班は取材に「本庁で保管しているが、許可した記録は確認できない。手続き違反の可能性がある」と答えた。同ガーデンを所有する運営会社の代表で市議の友寄永三氏は「あとで分かる。ノーコメント」と取材に応じなかった。
同法29条は3000平方㍍以上などの開発行為を行う場合は県知事の許可を得なければならないと規定。さらにゴルフコースなどレジャー施設については第2種特定工作物として許可を得なければならない。許可を受けるためには、建設、造成、雨水排水などの計画が基準を満たす必要がある。
防衛省沖縄防衛局によると、石垣島駐屯地建設に伴う用地造成面積は29㌶で、これまでに入札公告を行った用地造成7件すべてがゴルフ場にかかる土地で面積は約14・9㌶。このうちゴルフ場入り口部分で、改正県環境アセス条例の経過措置期間である来年2月の着工を目指しているが、購入予定地に法令違反の疑いが浮上したことでスケジュールに影響する可能性も出てきそうだ。
内原氏は一般質問で、市自然環境保全条例にも抵触する可能性を指摘。12条の開発行為の届け出、14条の市長の同意、15条の開発協定の締結について「環境課から文書の保存期間を超えているから破棄したと説明を受けた」として確認を求めた。
安里部長は「条例は平成3年に制定されているので、市への届け出は条例施行以前と考えている」と答弁したが、内原氏はなお「ジュマールの会社は条例制定後の平成5年に登記されている」と疑問を呈した。
「防衛省や市長がゴルフ場と呼んでいる場所は違法状態にあるのではないか。こうした事実を知らなかったのか」との指摘に、中山義隆市長は「どのあたりに齟齬(そご)があるのか、手続きに問題があるのか確認する必要がある。違法性があるかないかは確認しないと申し上げられない」と述べるにとどめた。
一方、配備計画への影響について中山市長は「許認可申請などがなされているかどうかということと、自衛隊配備は別物」との認識を示した。