名護市辺野古の海を埋め立て米軍のための新基地を造る工事の土砂投入がきょうにも行われる。すでに始まっているかも知れない▼玉城知事は就任後、県と政府の「対話」を要求。安倍晋三首相は「沖縄に寄り添う」と聞き心地のいいことを繰り返しながら、沖縄県民が幾度となく示す民意をあざ笑うかのように工事を強行する▼八重山に住む皆さんに思い出してほしいことがある。東村高江の工事現場で県外から動員された機動隊員が県民に向かって「土人」と発言した言葉を。この土人発言を聞いて凍り付いたことを▼そしてこの国の政府は辺野古でも同じことを繰り返す。「土人」だから権力に従えと言わんばかりの傲慢(ごうまん)さむき出しにはもう嗤(わら)うしかない▼ひるがえって石垣の自衛隊基地建設問題。若者たちが住民投票を求める「署名大運動会」で1万5000筆余を集めた。島の未来は自分たちで決める。その通りだ。米軍であれ自衛隊であれ、基地がある限り戦争が起これば沖縄の島々の住民に逃げ場はない▼「辺野古にも石垣の自衛隊にも賛成したけれど、あのとき嫌だと言っておけばよかった」では済まされない。大人が目先の利益に心奪われては子や孫の将来に禍根を残すだけだ。そのことを肝に刻んでほしい。(金城正洋)
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