再開の見通しが立っていない波照間空路に航空旅客事業を展開する㈱GOLDentertainment1895(石垣市、尹泳斗総責任者)が、新たに参入する計画が12日までに分かった。同社によると、波照間空港と南ぬ島石垣空港を座席定員6人乗りの機材で、来春の定期便化に向け運航準備を進めている。17、18日には行政関係者と島民を対象に特別試乗会を行う。これに竹富町は、島民の意向を踏まえて予算面の支援も視野に検討するほか、再開審議中の県離島航空路線確保維持協議会とも並行して空路再開を実現させる考えを示した。(砂川孫優記者)
特別試乗会は、波照間空路再開に向けた位置づけで行われ、同社と協力関係にあり、空港グランドハンドリング事業を行う㈱スカイサンタアビエーション(宮古島市、佐和田寿代表取締役社長)と航空機リース事業などを展開している㈱せとうちホールディングス(広島県尾道市、神原勝成取締役会長)の共同で実施。
試乗会終了後に同社は、参加者の反応や島民と行政の意向をまとめながら来年春の定期便化に備えるほか、離島をめぐる遊覧飛行などのチャーター事業も検討している。
使用機体は米国の小型航空機製造会社、クエスト・エアクラフト社(アイダホ州)のKODIAK(コディアック)100型機。同社は詳細な運航計画については未公表としながらも、すでに輸送実績や採算面などの需要動向を分析しているほか、空路再開に必要な申請手続きに入っているという。
この動きに町側は、空路再開に対して県の見通しが長期化する可能性を示唆するも、足並みをそろえて町単独でも再開を模索する従来のスタンスを強調。滑走路が800㍍しかない波照間空港の機能性と島の観光産業の側面も考えながら民間側と前向きに調整する考えだ。
西大舛髙旬町長は八重山毎日新聞社の取材に「空路の再開は最優先問題だが、まずは島民の考えや意見を聞きながら進めたい。支援が必要であれば、町独自で予算措置する考えもある」と前向きに答えた。
尹総責任者(57)は「波照間島の空路再開は島民の長年の願い、それを実現したい。島の人々や行政の意見を聞きながら運航に向けて準備したい」と話した。