残存。なくならないで残る。防衛省用語の「残存率」とは、自衛隊員が戦闘で生き残る確率を意味するという。言葉のまがまがしさよ▼しかも、その戦場は石垣島である(1日付本紙)。自衛隊が配備された島に敵戦力が侵攻し、市街地など6カ所で戦車を使った戦闘により兵力が3割に消耗するまでシミュレーションした「南西諸島での将来における戦い方」の作戦分析。私たち住民は眼中になく、戦闘の巻き添えにされていく▼これが陸自配備の意味だ。何より防衛省そのものが2千人規模の部隊を配備してもなお、侵攻されることを想定している。すなわち「標的の島」である。守るべきは領土であって住民ではないという「軍の論理」も露骨だ。「自衛隊がいれば安心」論は、勘違いだったか▼現防衛大綱は水陸起動団発足や「島しょ奪回作戦」、オスプレイ配備を進め、次期大綱も空母いずも、F35B運用と南西シフトに連なる。島々を軍事肥大化の言い訳に使うな。勝手に戦場にするな▼残存率100%。住民の誰一人死んではならない。武力を備えず、用いず、戦わずして危機を回避する。それが国の務めだろう▼平成最後のベストセラーは「君たちはどう生きるか」。国境の島々に住む私たちはどう生きるか。住民投票請求署名の数がその答えだ。考えよう。(慶田盛伸)
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