【西表】西表西部地区消防分団(上原、西表、白浜、船浮)は、観光客の増加などに伴って急患搬送業務で過重な負担を強いられていることが分かった。町によると、同分団の緊急出動件数は2017年で168件と他島に比べて多い。当番時には緊急連絡専用電話を24時間携帯して消防からの通報に対応しなければならず、精神的・肉体的な負担を招いている。このため分団員のなり手も少ないという。同分団は11月28日夜、干立公民館で町、沖縄県、警察、医療機関と意見交換、協力体制の強化を訴えた。
同分団の急患搬送業務は▽119番通報を受けた本島の消防司令センターから、当番制で分団員が管理する専用の携帯電話に出動要請の連絡が入る▽連絡を受けた分団員は、西部診療所に格納している救急車で現場に直行、急患を診療所に運ぶ▽手術や入院が必要と診断されると、ヘリコプターが到着するまで待機し、ヘリポートまで搬送する—という流れ。
当番制は上原(16人)、西表(16人)、白浜(8人)の各分団から4人一組でグループを編成。電波の関係で、海上よりも陸上で仕事をする分団員の多くが緊急連絡を担当し、負担も大きい。
意見交換には約40人が出席。分団員からは「出張所の職員も消防団に加入し、せめてわれわれが昼間仕事をしている間は専用電話の待機当番を引き受けてもらいたい」と注文する声が上がった。参加者からは「一刻を争う現場での死亡判断や救命活動に関して、専門の救急救命士を配置してほしい」「鳩間など医師のいない島で、消防団が急患ヘリを要請をできる明確なシステムをつくってほしい」などの要望があった。
各分団はこれまでに発生した搬送事例をもとに改善を申し出た。宿泊施設が関わる事故や施設の急患搬送要請などのケースにも対応しているため、企業・宿泊業者に対する安全配慮義務の周知を町に求めるなど対策を講じるよう嘆願。どこに所属してるか分からないガイドのツアー客が水難や事故に巻き込まれた場合、情報がない状態で救助することもある。
要望はほかに▽白浜港浮桟橋の照明設備の充実▽上原港浮桟橋にはしごの設置▽遺体搬送専用車両の配備—など。
町側は、2019年度制定予定の観光案内人条例(仮称)でガイド個々人を認定し、緊急時に同分団と情報共有を図りたい意向を伝えたほか、要望事項については持ち帰って検討する考えを示した。