新県立八重山病院に新設された歯科口腔(こうくう)外科は、開業医では対応困難な治療やケアを行っており、歯科診療所の紹介を原則としているが、紹介状なしに来院する患者も少なくなく、同科では「歯に痛みがあれば、まずは近くの歯科診療所で相談してもらいたい。その後、紹介を受け来院いただければスムーズな対応ができる」(仲間錠嗣医師)とすみ分けを呼び掛けている。
同科は、親知らず周囲の歯茎の炎症・抜歯など外科的処置を中心に行っているほか、口腔内の唾液や粘膜に関する内科的な疾患にも対応。全身麻酔による障がい者(児)の歯科治療も行うことができる。
八重山地区歯科医師会(砂川和徳会長)は、これまで沖縄本島でしか治療できなかった患者を同病院の地域連携室を通して同科に紹介。心臓疾患や高血圧患者などの有病者を安心して治療につなげられるようになり、〝心強さ〟を感じているという。
砂川会長は、医師と歯科医師の連携体制構築・強化について「都会では当たり前だったシステムが八重山もやっとスタートした。患者さんへのメリットも大きい」と期待。
一方、紹介状なしの患者が多くなると、医師や歯科衛生士の負担になるのではないかと懸念、「病院がパンクしないよう住民の方には理解してほしい。歯科診療所も病院と協力してネットワークを強化したい」と話している。