陸上自衛隊配備予定地の平得大俣周辺を対象に前石垣市自然環境保全審議会会長の渡辺賢一氏らメンバー6人が行っている希少野生動植物調査で、これまでに市指定の保全種9種が確認されたことが分かった。昨年5月の第1回調査で3種、同年6月の第2回で3種、ことし10月の第3回で3種と、回を重ねるごとに新たに見つかる保全種が増えている。平得大俣地区は、市が保護区に設定している於茂登岳のふもとに位置しており、渡辺氏らは「この地域の動植物層の豊富さを物語っている」と話す。
市は2015年5月1日、自然環境保全条例に基づき、▽現に個体数の減少あるいは生息環境の悪化で絶滅のおそれがある▽固有種など分布の特殊性を有する▽希少種の商業取引などにより捕獲・採取圧が高くなっている—ことなどを基準に動物20種、植物83種を保全種に指定した。原則的に捕獲、殺傷、採取、損傷が禁止されており、違反した者は30万円以下の罰金。
渡辺氏らが10月23日に行った第3回調査では、爬虫(はちゅう)類のサキシマカナヘビ、ラン科のアコウネッタイラン、クマツヅラ科のオオニンジンボクが初めて見つかった。
サキシマカナヘビは、樹上で生活するトカゲで八重山固有種。葉の上で確認した。アコウネッタイランは森林内で小群落を形成、開花時期が夏なので葉のみだった。オオニンジンボクは少数ながら開花も見られた。
調査は、渡辺氏ら前石垣市自然環境保全審議会委員4人を中心に反対地主の農園付近で実施。今後も季節を変えて調査したい考え。
渡辺氏は「谷間など開発されていない場所には手つかずの自然が残っている。わずかな範囲での調査で保全種9種も確認できた。環境アセスメントを実施すれば、これ以下にはならないだろう。環境アセスなしで配備を計画することは、日本最南端の自然文化都市の名に恥じるものだ」としている。