西表石垣国立公園海域公園地区内で捕獲が規制されている「海の指定動物」の乱獲が米原ビーチで相次ぎ、同地区付近の住民や関係者からは、生態系に与える影響や捕獲者の増加を懸念する声が挙がっている。10日には同ビーチでクマノミを捕っていた男性が環境省石垣自然保護官事務所から厳重注意を受けるケースも発生。ボランティアで見回りを行っている米原地区の花城康志さん(50)は「海の生き物は観光資源。捕獲禁止という情報が、訪れる人々に周知されていない」と話し、行政側が周知徹底に取り組むよう求めている。
■捕獲目的で来島
花城さんは10日午後の見回りで、網を持ってビーチ内の海に入る男性1人を見つけた。花城さんによると、男性は捕獲目的で県外から訪れており、透明なペットボトルの中にクマノミを2匹入れて持っていた。
花城さんは石垣海上保安部と環境省石垣自然保護官事務所に通報。
同事務所の若松徹上席自然保護官は「今回捕獲していた男性には厳重注意を行い、魚も元に戻した。海域公園地区での指定動物の捕獲禁止の看板を石垣市と協力して設置したい」と話す。
■高値で売買
花城さんは一昨年、ビーチ内で指定動物を捕獲しないよう呼びかける看板を独自に製作。しかし、「(看板の)効果はない。今年、分かっているだけで4件の被害が発生している。どうしようもない」と憤っている。
花城さんによると、石垣島の海やビーチで捕った魚をインターネットを使って個人販売する人が増加。観賞用として人気のある「カクレクマノミ」は高値で売買され、5匹で9000円もするケースもあるという。
花城さんは「行政や関係機関が看板を設置し、捕獲禁止という情報が誰にでも分かるようにしてほしい」と話す。
【メモ】2007年8月1日、旧西表国立公園に石垣島の一部が編入されて西表石垣国立公園となった。石垣島内には海域公園として平野、平久保、明石、玉取崎、川平石崎、米原プカピー、米原、御神崎、白保の海面が指定された。
同地域内では魚類、サンゴ類、イソギンチャク類、爬虫(はちゅう)類の捕獲が自然公園法で禁止され、その数は280種余り。罰則者には6カ月以下の懲役、または、50万円以下の罰金が科せられる。