平得大俣への陸上自衛隊配備計画をめぐり、防衛省沖縄防衛局は、来年2月ごろの着工を予定していることが分かった。ホームページ上で2日、「石垣島駐屯地」造成工事(その1)の入札を公告した。12月6日まで入札を受け付け、同10日に開札する。着工は来年2月ごろ、工期は2020年12月25日まで。同局は現在、用地測量や不動産鑑定などの業務を進めており、11月末までには終了する予定。12月以降に用地取得の作業を開始するとみられる。
同局が9月13日に公告した設計業務によると、用地造成の面積は29㌶。10月1日に施行した改正県環境影響評価条例は20㌶以上の土地造成を伴う事業を環境アセスメントの対象に追加しているが、来年3月末までに着工した事業については対象外とする経過措置をとっている。このため同局は年度内に着工し、条例の適用を回避したい考え。
平得大俣への計画をめぐっては「一度も民意が問われたことはない」として、石垣市住民投票を求める会(金城龍太郎代表)が平得大俣への計画の賛否を問う住民投票の実施を目指し、地方自治法などに基づく直接請求に向けた署名活動を開始したばかり。水文環境の影響を懸念して環境アセスの実施を求める声もあることから今後、反発が高まるのは必至だ。
金城代表は「水源の問題もある中で工事だけを優先的に進めてしまうのは本当に島の人たちの暮らしを守ることにはつながらない」と疑問視、「自衛隊配備賛成、反対どちらであっても、僕にとっては両方とも島の大事な人たち。住民投票を求める会としては、本当の島の人たちのためになる活動を目指して頑張りたい」と話した。
入札公告の内容は進入路部(造成・舗装・法面・仮設工事)と1地区造成工事(掘削約3万立方㍍、盛土約9500立方㍍、法面整形約2900平方㍍、植生基材吹付約2900平方㍍)。
■測量業者、無断で立ち入り杭
防衛局陳謝「業者の不手際」
平得大俣への陸上自衛隊配備計画に伴い、沖縄防衛局が発注した測量業務で、反対する地権者の土地に業者が無断で立ち入って木杭を設置し、樹木の枝打ちを行っていたことが3日までに分かった。
同局は2日、地権者の自宅を訪ね、「用地測量委託業者の不手際によりご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした」と陳謝する文書を提出したが、地権者はこれまでの対応に納得できないとして受け取りを拒否した。
地権者によると、9月12日、藍畑で収穫しようとしたところ、杭が打たれ、樹木が一部伐採されていることに気付いた。杭にはピンクの布が付けられており、「539|1」の番号が振られていた。
地権者の訴えを受け、同局職員は10月30日、現場を確認。その後、業者からの聞き取りなどを行った結果、「業者の不手際」を認めた。
一方、地権者の畑2筆3653平方㍍は、昨年5月17日に施設配置案として公表された予定地内に含まれていたが、同局職員はこの日、「用地取得範囲には含まれていない」「測量業務を発注する際に外した」と説明した。
地権者によると、施設配置案の確定前に同局が行った事前調査で反対の意思を伝えていたにもかかわらず予定地に含まれており、これまで同局に確認を求めていたが、この日まで明確な回答はなかった。
地権者は取材に「配備計画の進め方は当初から今日に至るまでずっと反対する住民の感情に寄り添うことなく、既成事実を重ねることだけに終始してきた。その結果、このような事態が起こった。私はこのままま強権的に配備されることに断固反対する」と憤りをあらわにした。