地方自治法に基づく住民の直接請求による、辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票条例が10月31日に交付されたことを受け、県知事公室の池田竹州室長らが2日、投票事務の移譲について回答を保留している中山義隆石垣市長を市役所に訪ね、理解を求めた。中山市長は投票や条例内容に疑問を呈した上で「どこまで議員の理解を得られるか話し合ってみないと分からない」と述べるにとどめた。
県民投票について、条例は第13条で地方知事法第252条の17の2により市町村が処理することと規定。条例交付から半年以内に県民投票を実施しなければならず、県は市町村に対し12月議会で補正予算化を求めている。投票事務費は県から市町村に交付される。
池田室長は「県民投票は、間接民主制の欠陥を補強する直接請求制度で実施されるもの。全市町村で実施されることが重要」と意義を強調。
中山市長は「私自身クエスチョンマークを付けている」として▽県知事選ですでに民意が出ているのに5億5000万円をかけて実施する必要性があるのか▽普天間飛行場の移設に伴う辺野古の埋め立てという前提条件が条文に入っておらず、辺野古埋め立てのイエスかノーだけで投票する皆さんの意思が表れるのか—などと疑問を呈した。
これに池田室長は「政府は4年前も今回も、県知事選では辺野古だけが問われたものではないと言っている。3年前の(埋め立て)取り消し訴訟で那覇高裁支部も辺野古については民意が明確に示されたものではないと判断している。そういう点で純粋に埋め立てに関する民意が今回初めて示されることになる。(直接請求は)地方自治法で認められた住民の権利で、民主主義に必要な経費」と説明した。
条例の直接請求を求める有効署名数は9万2848筆で、石垣市からは2260筆が寄せられた。