卒業や新入学シーズンを彩る県花「デイゴ」が、今年はいつにも増して色鮮やかに咲き、南国らしい深紅の花が道行く人たちの目を楽しませている。竹富島では4日夜、県内でも珍しいデイゴまつりを開き、見事復活したデイゴの花見会を楽しんだ▼2005年に外来害虫ヒメコバチの被害が初確認されて数年で、デイゴは全県的に絶滅の危機に直面。本紙は09年2月、沖縄のシンボルをこのまま消滅させていいのかと警鐘を鳴らした▼これに翌年、早速応えたのが竹富公民館とNPO花と緑の石垣島だった。高額な駆除剤購入のため竹富公民館は全国にカンパを募り、NPOは市の助成のほか民間に寄付を募って“再生”事業をスタート、見事今によみがえらせた▼石垣市では過去にも絶滅の危機にあった「市蝶」のオオゴマダラを、市民有志が食草のホウライカガミ植栽運動でよみがえらせた。いずれも住民運動の結果だ▼しかしもう一つの沖縄の絶滅危惧種「方言」は、薬剤や食草のような“特効薬”がなく、新聞・テレビも動員した県挙げての取り組みもなかなかというのが現状だ▼八重山も各字で「方言名人」を認定、同名人を講師に塾を開設するなど役所が本気にならないと難しい。先日講座を開いた青年会のアンガマなど行事に狙いを定めるのも一つの方法だ。(上地義男)
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