竹富町教育委員会(慶田盛安三教育長、4人)は下村博文文部科学相から是正要求を受けている件で10日午後、臨時会を開き、今後の対応について協議した。弁護士を交えた学習会も行い、意見交換したが、臨時会終了後、大田綾子委員長は「結論はまだ出ていない」と述べ、この日は明確な方針を示さなかった。町教委は3月定例会で是正要求に応じない方針を示していることから、11日に期限を迎える国地方係争処理委員会への申し出を行わず、違法確認訴訟提起を含めた国の対応を待つ見込み。
町が地区協議会の答申と異なる中学公民教科書を使用していることで、下村文科相は3月14日に同一教科書の採択を義務付けた教科書無償措置法に違反しているとして、地方自治法に基づく是正要求を行った。
国が市町村に直接要求するのは初めてで、是正要求を受けた自治体は改善する義務を負うが、国地方係争処理委員会に審査を申し出ることも可能。是正要求に従わないまま、同処理委員会に審査を申し出なかった場合、国は違法確認訴訟を提起できる。
このため、町教委は同処理委員会への申し出や是正措置への対応、改正教科書無償措置法について臨時会で協議した。同日夜、大田委員長は報道陣に「あすの朝、結論を出してそれに基づいて会見したい」と述べた。
町教委は3月定例会で是正要求に従わない方針を確認。2014年度分の教科書配布も終えており、同委員会への審査申し出を行わず、国の対応を待つ見込み。
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竹富町教委は11年夏、石垣市と与那国町の3市町でつくる八重山地区協議会が答申した育鵬社版ではなく、東京書籍版を独自に採択。無償措置の対象外とされたため、12年度から有志が寄贈した東京書籍版を生徒に配布している。
文科省が繰り返し指導したのに対し、竹富町教委は「地方教育行政法では教科書の採択権は市町村教委にある」として従わなかった。同省は昨年10月、県教委に町教委への是正要求を指示したが、県教委は「現場に混乱は起きていない」などとして現在も要求していない。