石垣市は23日、聴覚障がいの当事者や外部委員らで構成する手話言語条例検討委員会(委員長・大田幸司県立八重山特別支援学校長、委員13人)を設置、素案の策定作業を開始した。手話を言語として位置付け、聴覚障がい児・者が円滑に意思の疎通を図ることができる地域社会を実現するのが目的。初回は条例の必要性を確認、次回から事務局提示の素案を具体的に検討する。来年1月に答申する予定。市はパブリックコメントなどを経て同年3月の議会上程を目指す。
事務局の障がい福祉課によると、身体障害者手帳所持者1954人のうち、聴覚障がい者は362人、ろう者は30人。市は意思疎通派遣事業として専従手話通訳者2人を確保し、庁舎内や電話での通訳を行っているほか、病院や職場、ハローワークなどに派遣。2016年度で339件、2017年度で269件の派遣があった。
手話言語条例は22日現在、全国で194自治体、県内では県、浦添市、南風原町が制定している。
市の課題として事務局は▽視覚的に訴える情報の整備が少ない▽意思疎通支援事業に携わる手話通訳者が増えない▽職場や医療現場での手話に対する理解、普及が進んでいない▽聞こえない市民は、災害時の対策などに不安を抱えている▽多くのろう者が観光に訪れるが、観光ガイドの話が分からない—ことなどを挙げた。
中山市長は冒頭、「市としても、聞こえる人も聞こえない人も互いに助け合える地域づくりを行っていく上で、市民が手話を使いやすい環境を整えることは非常に意義のあること」と述べ、条例案の策定を諮問した。
市は昨年9月、石垣聴覚障がい者友の会、県手話通訳問題研究会とのランチミーティングで条例制定の提案を受けた。この後、ろう者と通訳者が学習会を開催したり、職員向けの講話や市民向けイベントなどを開催したりするなど準備を進めてきた。
副委員長には市登録手話通訳者の飯田実男氏、石垣聴覚障がい者友の会役員の本村順子氏を互選した。