平得大俣への陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票の実施を目指す石垣市住民投票を求める会の金城龍太郎代表(28)=嵩田=は18日、石垣市議会で「辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票条例」に反対する意見書が与党などの賛成多数で可決されたことを「住民投票をさせないという圧力かな」と受け止める一方、「平得大俣への配備計画でも大切な民意が置き去りにされていると感じている。住民投票をみんなで考えるきっかけにしたい」と意義を強調した。八重山毎日新聞社の取材に答えた。
金城さんは、米国南部のアーカンソー州立大学を卒業後、ジョージア州アトランタにある日系企業の自動車部品メーカーに就職。部品を売り込む営業マンをしていたが、ビザの期限が切れる2014年6月、「石垣島は他の地域と比べて魅力的。自分で作ったものなら自信をもって売り込むことができる。生産者になる」と迷うことなくUターン、実家の嵩田で父親が営むフルーツ農園に就職した。
マンゴー農家として歩み出したばかりの15年11月、隣接する平得大俣への陸自配備計画が浮上。「最初は現実味がなく、イメージが湧かなかった」というが、手続きが着実に進む状況に「イヤと言っている地域住民の声があるのに…。何か大事なものが置き去りにされている」と寂しさを感じることも。
計画の動きが加速する現状を受け、住民ら有志が今月13日、住民投票を求める会を結成。「計画地に隣接し、一番身近に感じている人として責任をもって前に立ち、伝えていく責務がある。若い人がやるしかない」と覚悟を決め、代表を引き受けた。
同会は10月末ごろ、地方自治法に基づく条例請求に必要な有権者数の50分の1を大幅に上回る1万人を目標に署名活動を開始する。1万人は市自治基本条例に基づく住民投票の要件(有権者の4分の1)も満たす署名数。受任者を400人確保して目標達成に取り組む考え。
「市長選や市議選では民意は測れない。住民投票が考えるきっかけとなり、どちらの立場であっても民意を出すことが必要ではないか。国まかせではなく、島の人の答えを出したい。身近な地域のために頑張りたい。それが島のためになれば」と話した。