地区内で同一教科書の採択を義務付けた教科書無償措置法に違反しているとして下村博文文部科学相から是正要求を受ける中、竹富町教育委員会は7日、町内全中学校9校の3年生に、篤志家から寄せられた東京書籍版の公民教科書を配布した▼「現場で混乱を生じていない。政治が介入して教科書を変更する方が混乱を招く」(慶田盛安三教育長)というのが是正要求に従わない理由だ▼その「是正要求」に対する国地方係争処理委員会への審査申し出の期限が11日に迫っている。町教委は10日、非公式で勉強会を開き、対応を話し合った。11日午前、会見を開き、結果を公表する▼国が地方自治体に直接、是正要求を出すのは今回が初めてのケース。それだけに、前例がなく情報が不足する中、町教委は是正しない場合、不服申し立てをした場合、しなかった場合にどうなるのか、法律の専門家を交え、論議したようだ▼だが、そもそも教科書の無償措置法に違反するというならば、地区内で同一教科書が使用されていない現状は石垣市も与那国町も同じ。3市町それぞれに是正要求を出し、同一教科書の使用を求めるべきだっただろう▼それをせず、教育現場で何ら混乱も起きていない竹富町のみに是正要求を行うのは、国の地方への介入にほかならない。(下野宏一)
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