石垣市内でリゾート開発などを手がける㈱石垣島白保ホテル&リゾーツ(吉田隆代表取締役)が白保集落北側の東海岸沿いで建設を計画しているリゾートホテルをめぐり、白保に住む7人の原告団(新里昌央代表)が20日、同社を相手に、建設の差し止めを求めて那覇地方裁判所石垣支部に提訴した。
ホテル建設は、自社有地3万9600平方㍍に延べ床面積1万5501平方㍍の鉄筋コンクリート造、地上4階建て(最高17・4㍍)を計画。客室は本棟のホテル棟165室、ヴィラ棟36室、180台の駐車場を完備。宿泊者数は年間10万人を見込んでいる。
企業側は昨年7月に白保公民館で住民説明会を開いたが、住民側が開発で懸念する自然環境や周辺の景観と地元住民の生活変化に対して理解は得られず、同年11月には白保公民館が計画の賛否を問う臨時総会を開き、全会一致に近い反対多数で決議した。
ただ、企業側は石垣市に市風景づくり条例および市自然環境保全条例に基づく届け出を行ったが、市は昨年11月に「近隣自治組織の同意が得られていない」として不同意。県はことし3月28日に開発を許可した。
20日正午から大浜信泉記念館研修室で新里代表と弁護団が会見を開き、沖縄合同法律事務所の赤嶺朝子弁護士は▽建築工事による赤土流出や企業側が示している地下浸透方式での下水処理からの汚水流入▽光害によるウミガメ産卵への悪影響▽宿泊客の過剰利用による周辺海域の環境破壊—を指摘。赤嶺弁護士は「原告側の漁業行使権、シュノーケリングガイドを営む営業権、白保住民の平穏生活権を侵害する」とし、裁判での争点は「企業側における浄化槽の汚水問題になる」との見方を示した。
提訴に踏み切った理由に新里代表は「多くの問題点が解決できないまま、住民の意思を無視して開発を進めようとしている。(企業側は)先人が守ってきた白保の海の重要性を理解していない。汚水の影響で海が汚染されたら元に戻すことができない」と訴えた。
今回の提訴に関連して「白保リゾートホテル訴訟を支援する会」(柳田裕行事務局長)が6日に発足。今月末に専用のホームページを立ち上げ、情報発信と反対署名を募る方針を打ち出した。