南米チリ沖で2日未明、発生したマグニチュード(M)8.2の巨大地震は、太平洋を挟み約1万7000㌔離れた日本へも影響を及ぼし、北海道から関東にかけた太平洋沿岸の広い範囲で最大60㌢の津波を観測した▼国内では今回、津波被害はなかったものの、岩手県や宮城県など3年前の東日本大震災の被災地にも津波が到達。当時の惨状を思い起こすことによる住民への心理的な影響が心配だ▼気象庁は一時、八重山地方にも20㌢から1㍍の津波が到達する可能性があると発表し、心配された。結果的に津波は到達せず、心配で終わったが、郡民も津波への警戒を再認識する機会になったことだろう▼郡内3市町には、防災無線が整備され、緊急時には無線を使って行政区域内の住民や観光客らに一斉に情報を伝達するシステムが整っている▼今回の地震への対応をみると、竹富町が2日と3日、石垣市が2日夕方、2回にわたり防災無線を通して住民らに注意喚起したのに対し、与那国町は「注意報が出ていない状態で放送すると余計な混乱を招く」として見送った▼今回の対応は自治体での判断が3パターンに分かれた格好だが、それぞれで今回の対応を検証し、次回以降に備えてほしい。必要な情報は伝え、それを住民が判断することが必要だろう。(下野宏一)。
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