あれだけ多くの人たちが反対した特定秘密保護法案が自民、公明、みんなの党の数の力で衆院を通過、来月6日に参院でいよいよ可決成立の見通しとなった。マスコミに身を置く一人として、「何が秘密か、それが秘密」を乱造し、情報統制するこの法案に底知れぬ怖さを感じる▼しかしなぜこうも6割以上の国民が知る権利の侵害を懸念し、日弁連はじめ多くの学者や団体が反対する“悪法”の成立を急ぐのか▼実はそこに反対の動きを封じ、国民の目、耳、口をふさぐ同法案と安倍政権の本質的な怖さがある▼全国の新聞社説は「恐ろしい社会への一歩」「巨大与党の横暴」「世紀の悪法を許すな」といっせいに批判や懸念を示した▼衆参のねじれは政治の停滞で困ったが、ねじれ解消の安倍政権は巨大与党となって暴走し、沖縄を強権でねじ伏せ、今回の法案も強行採決。これを世論も止められず、独裁的な強権政治でいつか来た危うい道を突き進んでいる▼「戦前の秘密国家・暗黒社会への回帰」が懸念される同秘密保護法案。かつて八重山も警察や公安が共産党や復帰運動活動家らの動向を監視していたそういう時代があった。尖閣をめぐり防空識別圏設定など一触即発の危機にある日中対立は、最前線の八重山を同法でも渦中に巻き込む恐れは十分にある。(上地義男)
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