「佐川はうそをつくな」「安倍内閣は総辞職せよ」佐川宜寿前国税庁長官の証人喚問が、予想通りの茶番劇に終わった27日夜、国会前に集まった1000人余の人々からこのように怒りや抗議の声が次々上がったという。当然だろう▼自殺者も出て自民党の小泉進次郎氏が、「平成の政治史に残る大事件」と断じた公文書改ざんは、為政者が自分たちに都合良く事実をねじ曲げ、黒を白と言いくるめる民主主義の根幹を揺るがす前代未聞の許し難い犯罪行為だ▼しかし佐川氏は核心部分でないところまでことごとく答弁拒否しながら、安倍首相夫妻や官邸の関与はなぜかきっぱり否定。逆に疑惑を深めた▼そこには元官僚としての誇りや誠実さはみじんもなく、そこまで忖度(そんたく)しなければならない政と官の関係に、憤りや哀れみだけでなく恐怖すら感じ、そういう人たちにこの国を任せていることに強い不安を覚える▼安倍政権は「何も出なかった」とこれで一区切りつけ、安保法などのように「国民はどうせ忘れる」とまたも外交などで支持率回復を狙うだろうが、今回はそううまくいくか▼しかしここで幕引きを許せば改ざんや廃棄がまん延し、民主主義は壊滅的になりかねない。総理夫人らも喚問し、トカゲのしっぽ切りで終わらせてはならない。(上地義男)
↧