ハンディのある人が伴走者と一緒に大会に出場するロープランナー。ハンディのある人がスポーツを楽しむ仕組みのひとつだ▼八重山の先駆的な伴走者のひとり、石垣市登野城の福仲用治さん(62)がわざわざ台湾まで電話をくださった。石垣島マラソンなどで伴走したことがある冨永実勝さん(75)が一緒にいるから電話を代わるという▼冨永さんも字登野城出身で宜野湾市在住。正月に合わせて帰省していたところだ。1943(昭和18)年生まれで台湾出身。「屋良朝苗は台湾で学校の先生をしていて、山中貞則を教えていたこともあるの」▼沖縄の復帰がいつなのか分からない人がいるという話題がニュースになる昨今。公選の行政主席を務めた屋良を台湾との関連で語れる人は、県内でも少なくなってきているのではないか。八重山の畜産基盤整備と深くかかわった初代沖縄開発庁長官の山中と絡めて語るとなると、さらに危うい▼電話の向こうで冨永さんは「台湾のことを手紙に書いて送るよ」と言った。私の居所は福仲さんに差し上げた名刺に刷ってある。発送は福仲さんが手伝うのだろう▼2人は八重山農林高校の元同僚。職場を離れてもサポートの関係は続く。ロープランナーという仕組みが人のつながりを豊かにし、サポートの幅を広げていた。(松田良孝)
↧