人間の活動が引き起こす大気の変化が、地球の気候や環境を破壊して人類の将来を危うくしている▼環境省の研究チームが、地球温暖化の影響で今世紀末の日本の年間の洪水被害額が、最大で20世紀末の3倍以上の約6800億円に達し、砂浜は全国の85%が消失すると予測した報告書をまとめた▼研究チームは、20世紀末に比べて年平均気温が3.5~6.4度上昇すると指摘。今世紀半ばには、暑さが原因で死亡する人が全国的に2倍以上増加し、タンカンをはじめとする亜熱帯の果樹が首都圏で栽培できるようになるなど、健康や農業に影響が出ると予測する▼国内では近年、温暖化の議論が低調気味だが、報告書は対策が急務であることを強調。四面を海に囲まれた日本としては放置できない深刻な問題でもあり、地球温暖化による被害から逃れられない未来図を示している▼研究チームは、こうした未来を避けるための手段として二つをあげる。一つは、温暖化の進行を食い止める温室効果ガスの排出削減。さらに被害を軽くするための「適応策」を取ることだと訴える▼地球環境はいかにして守るのか。沖縄はどうだろう。海岸が赤土に染まり、白い砂浜が消えていく。未来の自然界に取り返しのつかない被害を与えることがないよう、足元をしっかり見つめたい。(鬚川修)
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