設立20周年を迎えた八重山経済人会議(大浜一郎代表幹事)の記念講演会が1日夜、石垣市内のホテルで開かれ、元県知事で㈱りゅうせき参与の稲嶺恵一氏と東海大学海洋文明学科主任教授の山田吉彦氏が「八重山の国際化と国境 そして未来」をテーマに、尖閣諸島を取り巻く日中米関係や好調な八重山観光の発展に向けて講話した。
第1部で登壇した稲嶺氏は、知事時代を振り返りながら考察した尖閣諸島問題と石垣市で増加しているクルーズ船寄港について講話。中国が尖閣諸島に関する文献を集めていることに触れ、「糸満や与那国などからカツオ船が往来して最大で248人が居住していた歴史がある。他国にはわが国の固有の領土と言うのではなく、正しい事実を理論的に発信することが重要」と指摘した。
クルーズ船の寄港増加で国際化が進む八重山観光には「アメリカ同時多発事件が発生した『9・11』で県内観光が落ち込んだように観光は弱みがあることを忘れてはならない」(稲嶺氏)と助言した。
第2部で日中の海上交通関係と海洋政策について紹介した山田氏は、中国と他国の貿易船が日本列島を横切る航路にあることを説明。尖閣問題には「海域の漁獲量は減り始めている。環境という切り口で中国と交渉したい。この中で安全保障などの複合的な拠点になるのが八重山。観光を発展させて経済力をつけ、新しいビジネスを見いだしてほしい」と期待した。
同会議の大浜代表幹事は冒頭で「20年前にまいた種が現在、芽を出している。時代の潮目を見定め、八重山が県の離島から脱皮して日本を構成する重要な地域になることを考えたい」とあいさつした。